「円安倒産」や「物価高倒産」は足元の外部環境の急変を原因としますが、「後継者難倒産」は後継者問題が引き金となった内部環境による倒産です。
この「後継者難」による倒産は、あきらめ型倒産と言われるらしいです。
後継者難は今に始まったことではないですが、コロナ禍を経て、より悪化しています。
帝国データバンクによれば、2022年の累計で調査開始の13年以降で年間最多だった21年を上回る勢いで、とても深刻な現状であるとレポートしています。
あの社長でも交代できてない…
多くの方が名前を知っているあの社長。
自分の後継を託すと言って素晴らしいキャリアのある方を三顧の礼で迎えましたが、結局 意見の相違があったとかで、その方は退社されました。
後継者の育成が出来なかった訳です。
(その素晴らしいキャリアで、今は別の会社の社長をされてます。)
別の有名な社長も同じでした。
海外からキャリアのある方を副社長として迎え入れましたが、狙ったような事業展開ができてないと退職させられてしまいました。
そんなカリスマ社長でさえ、後継者が育成できないのに、どうして、中小企業において後継者育成が進むことができるのか、とても難しい問題だと言えます。
(大企業と違い、人材に余裕がないので後継者育成まで手が回らない訳です)
後継育成の何が問題か?
さて、あきらめ型の後継者難倒産が起きてしまうのは、何が問題なのか?
物価高や円安、新型コロナなどの外部環境の変化もありますが、むしろ内部環境の問題の方が大きいかと思います。
もう少し突っ込んで言えば、「世代交代の時期を明確にしてこなかった」のが大きいと言えます。
大きな要因として、この問題を先延ばしにしてしまった感があります。
私が相談を受ける事業者の方で、ほとんどの方が世代交代を問題だと認識しているのに、「いつまでに世代交代をするのか」をはっきりと言えた方はいませんでした。
(だいたい〇年後とか、〇歳ぐらいで…と、ぼんやりした感じでした)
いつまでに世代交代をすると明確にしていないので、本気で後継者を育成できていませんし
後継者も本気で成長しようと取り組めてない状況が見受けられます。
(もしくは後継者の確保が一向に進んでいない場合が多い気がします)
ある社長の言葉…
ある会社の社長が、まだ手腕を発揮できる年齢でありながら、代表から退かれました。
クルマ屋の限界を感じられたそうです。
デジタル化や電動化に対して、自分が古い人間だ…と思ったそうです。
次の世代に託そうとする、その潔さはさすがだと感じました。
佐世保にある通販で有名な創業社長は、35歳の次期社長にその座を譲った際に、どうやって若い世代にバトンタッチするかをずっと考えてきた、社長退任はまったく悔いはないと、言い切りました。
世代交代にあたって、周到な準備をしていたことが分かります。
あきらめる前に、最初にゴールを設定する重要性がわかる事例だと思います。
そばに有るあきらめ型
全国的には、後継者不在とする割合は減ってきています。
地域金融機関や事業承継相談窓口が大いに貢献している結果です。
それでも、約60%の事業者が後継者不在である状況に変わりはありません。
すぐそばに、後継者不在であきらめ型の倒産予備軍がゴロゴロしている訳です。
従業員承継や第三者承継など、あらゆる角度から、世代交代に取り組まなければ手遅れになります。
どうか、世代交代を先延ばしにしないで欲しいのです。
地域金融機関や事業承継相談窓口が相談することからでも始めてください。
笑顔創造研究所は、みなさまの笑顔を応援しています。