
昨年、様々な現場の問題の中で、特に印象深かったものは、特定の業務が特定の人に集中し、それが解消できない問題でした。
業務のデジタル化もしくは標準化にむけて、どれだけ業務手順を聞いても、プロセスが理解できません。
(故意に、難しく伝えようとしている気がしました)
もしくは、
何度依頼しても、業務プロセスを開示してくれないのです。(文字にしてくれません)
自然災害や感染症の発生によって、業務の滞りや品質の劣化があってはならない…と説明したとしても、目の前の業務が忙しく、特定者が時間を捻出できないと言われて、前に進まないのです。
管理する上席の方もサジを投げて、何も進まない状態が改善できずにブラックボックス化が進むのです。
引継ぎイジメで属人化が助長
業務のブラックボックス化を解消するために、引継ぎや後進の育成を試みようとしても、たいてい上手くいかずに失敗に終わります。
(引継ぎイジメが発生します)
属人化してしまった業務は、文字化されたマニュアルが存在しない事がほとんどなので、口頭であれこれ説明を受けても後任者の頭に入ってきません。
何しろ、全体像が分からないので、どの部分を説明されているのかイメージができない訳です。
もう一度質問しようとしても特定者の機嫌が悪くなって聞けず、分からなくてミスして怒られさらに特定者の機嫌が悪くなって引継ぎが全く進まない状態となります。
やがて、後進にあてがった人から退職の意向があり、業務の属人化がさらに加速する悪循環となります…。
属人化業務を可視化する仕掛け
そもそも何度依頼しても、業務プロセスの流れを文字化してくれない訳ですから、通常の方法では上手くいくはずがありません。
では、どのような仕掛けが取れるでしょうか?
その為の対処策「その1」、
あえて長期休暇の期間を作るです。
金融機関では、不祥事防止のため1週間ほどの休暇を強制的に取らせるというシステムが存在します。
1週間も、他の職員(社員)が業務を代行することになるので、必然的に業務を明確化(文字化)せざるを得ない状況となります。
ブラックボックスの可視化を図るため、長期休暇(もしくは本人不在)の期間を作り出すという仕掛けです。
永年勤続表彰として遠方旅行をプレゼントするとか、今後の事業発展のために、外部研修や資格取得を受けに行ってもらうとか、様々な方法があるかと思いますが、表彰などご褒美を楽しむためには業務代行できる資料準備がどうしても
必須となる仕掛けです。
対処策「その2」は、
人事評価制度の明確化です。
特定者だけでなく、社内全体で情報共有と効率化を図る目的のもとマニュアルの作成・業務改善を行った人材を評価するものです。
高評価の人材は、賞与に反映する等メリットがないと動いてくれません。
自発的に動いてもらえるように、十分な説明と本人の納得がカギなので、慎重に進める必要があります。
対処策「その3」は、
外部人材の活用です。
頭ごなしに業務の俗人化を解消するゴールを設定するのでなく、DX化のため、業務ローテーション等違う目的を達成するなかで、特定業務を明確にする仕掛けです。
外部人材の協力を得ながら、一番着手したい核心部分の改革を行う方法なので、いつまでに〇〇を行う必要があるというスピード感が活用できます。
とは言うものの、担当者から業務内容を難しく説明されて、全体像を理解するのに、根気と忍耐が必要で、タフで我慢強い外部人材でないと進めるのが難しいです。
(タフでない私では難しい、高いスキルが要求される支援内容です)
業務のブラックボックス化は、組織の成長を阻む大きな要因です。
業務の属人化を解消し、柔軟で効率的な職場環境を実現することで、組織全体の生産性向上と従業員の満足度向上につなげることが可能となります。
これを機に、自社の業務環境を見直し、ブラックボックスの可視化に向けた仕掛けに取り組んでみましょう。
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