カスハラから従業員を守るための手順

最近、コンビニやスーパーなどで迷惑行為の基準を明示し、来店拒否などの対策を公表することが増えてきました。

 

顧客による理不尽なクレーム、不当な要求、従業員に対する嫌がらせなどの迷惑行為が悪質化してきたからです。

 

大手の百貨店では、カスハラと判断した場合、「顧客対応を打ち切り、来店を断る場合がある」とする基本方針を公表しました。

 

(カスハラとは、カスタマーハラスメントのことです)


それほど、「お客さまは神様』の時代でなく安心して働ける環境づくりが重視される時代になった訳です。

 

ある調査によると…

 

カスハラをする人の推定年齢は60歳代が約30%と最も多く、

70歳代以上と合わせると約49%に及ぶそうです

 

高学歴・高収入で社会的地位が高かった人がカスハラをする傾向がみられるという分析もあるそうですが、困ったことに、ほとんどの人がカスハラの自覚や悪意がないそうです。

 

では、どのような行為がカスハラに該当するのでしょうか?

迷惑行為の基準を明確化する

以下のような行為の場合、カスハラに該当し犯罪や違法行為として法律上取り扱われることもあります。

 

 ・威圧的な言動

 ・土下座・行き過ぎた謝罪の要求

 ・繰り返される執拗な言動

 ・不退去、居座り、監禁など

 ・性的な言動や性差別

 ・従業員個人への要求

 ・商品や金銭の要求など

 

土下座や金銭の要求なら、軽犯罪法の対象として対処できると思いますが、威圧的な言動については具体的に何がこれに該当するのか、明確な統一基準がありません。

 

さまざまな業界や会社ごとに客層や規模が違うので、明確な基準を設けることが難しく、カスハラをめぐる法整備が進まない要因となっています。

 

そこで、コンビニやスーパーなどは迷惑行為の基準を明示するようになった訳ですが、自社(又は支援している企業)では迷惑行為の基準を明確化しているでしょうか?

 

まずは、迷惑行為の基準を明確化し、その行為に対する明確なポリシーを従業員に周知しましょう。

 

※カスハラを受けた際に、威力業務妨害や偽計業務妨害で対処可能ですが、カスハラの行為そのものを規制する法整備はまだ進んでいません。

カスハラへの環境整備

カスハラ事案が発生する前に、どのように対処すべきか従業員教育を徹底するだけでなく、監視カメラや録音機器の導入など必要な環境設備にも着手してください。

 

日頃のトレーニングで、きちんとカスハラ対応できていたとしても、こちらに落ち度がないことを証明できなければ、クレーマーと正面から対峙できないだけでなく、従業員から会社に落ち度があると訴えられることになります。

 

(安全配慮義務を怠ったとして、訴訟問題になる懸念もあります)

 

 

また、電話オペレーターを含めて接客をする人が本名を出さずに仕事をすることが増えてきました。

Web上に、悪質なクレーマーが大切な従業員のデマを流さない仕組みが必要だからです。

 

名前以外にも、公表して欲しくないデータが他にはないものか、確認してみましょう。

大事なのは振り返り

クレーマーでなくとも、初期対応を間違ったために大きなトラブルになるケースがあります。

 

私が遭遇したケースでは、クレームを申し出た方に対して「詳しくお話しを聞かせて下さい」と言った瞬間に、「何度、同じことを言わすのか」とその方の怒りが爆発したのです。

(何度同じことを言わすのかと、怒るのが目的だった感じでした)

 

クレームへの対応フローは間違っていないのですが、内容を確認する際にます従業員に確認すべきでした…。

 

これらの事例を今後に活かせるような振り返りと、情報共有の仕組みがないと、また同じようなトラブルに遭遇します。

 

やはり、業界や会社ごとに客層や規模が違うので、画一的な手引きでは十分に対処できません。

該当する業界や会社にあった対応フローとなるように、トラブルになった際の振り返りと手引きへの反映をしていきましょう。

 

また、そのような手引きがないという事業者の場合は、厚生労働省のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを参照しましょう。

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24067.html

 

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