
「住民基本台帳人口移動報告」のR6年報によって、都道府県における転入超過数が判明しました。
※転入超過数=転入数 - 転出数 です
このデータで、最も人口が移動純減となったのは、どこだと思いますか?
なんと、4年連続で広島県が最も移動純減させた県となりました。男性よりも女性の方が、広島県から他の都道府県へ移っています。
移動純減となったワースト2位は、なんと愛知県なのです。
ワースト3位は兵庫県で、それぞれ人口100万人以上の政令指定都市を抱えている県にもかかわらず、
(住民票上でみると)入ってくる人口よりも、出ていく人口が多いエリアという結果になった訳です。
もっと言えば、今の時代の人々(20代)に人気がないエリアという事になります。
さて、人口減少の懸念がある中で、これからどう人財を確保していけばいいのでしょうか…?
人は変わらない という気づき
かつて離職率が高く、危機的な経営状況だったカワキタエキスプレスという会社があります。
2011年の離職率は65%と、大量退職という事態となってしまったのです。
しかも、次期社長候補であった幹部までが退職してしまったのです。
その原因となったのは、組織改革でした。
運送業界では売上げや走行距離に対しての歩合制が主流だったものを月給制に変更し、評価制度を入れて、「若者が憧れる職業に」するための組織改革を図ったのです。
お客様から「さすがプロだな」と信頼されるように、
「名札を着用する」
「靴を揃える」
「運転中には携帯電話を使用しない」
この基本的な3つのルールを徹底することで、人として当たり前の行動をしてほしいと思っていました。
何故なら、その当時はミスや事故が多かったからです。
しかし…
「小学生がやるようなことを、何故言われなければならないのか」という反発を招きます。
その当時は、運送業の残業規制が未だない時代です。
「自分のために、自分が頑張って稼げばいい」という従業員が多く、金額が変わらなくても、月給制だと張り合いがなくなったと会社を去る人が続出したのでした。
マナーやスキルを高めるために色々と研修を実施しても、相手に変わる気がない限り、どんな教育をしても「人は変わらない」と気づいたのでした。
※もちろん、変わる人も居るとは思いますが、よっぽどのことがない限り、人は変わらないと思います。
どうやって離職率を下げたのか
さて…
危機的な経営状況だったカワキタエキスプレスは、どうやって離職率をさげたのでしょうか?
その答えは、「自社に合う人材を見極めた」ということでした。
さらに、運送業の経験者(即戦力)を採用するのではなく、高卒の未経験者の採用へと舵を切ったのです。
やんちゃで元気がいい即戦力を採用したとしても、「自分はこうやってトラックを運転して稼いできた」と、会社の方針には素直に従ってくれなかったそうです。
未経験者であれば、経験がないので輪止めの徹底や出発前のタイヤ点検といった基本を大切にしれくれました。
人の習慣や考え方は変わらないので、マナーやモラルを守る人材を入社させることで、組織を変えていったのです。
辞めた人の代わりを補充するのでなく、より良い人材を選別するようになったのが離職率を下げる要因となったのですが、長期的な展望がなければできない組織改革と言えます。
不都合な現実を受け止める
冒頭で、広島・愛知・兵庫が入ってくる人口よりも、出ていく人口が多いエリアとであると紹介しました。
これからの日本は、もう人口が増えることはありません。
中小企業が若い人材を確保できない時代が、すぐそこまで来ています。
総務省が発表したデータによると、2025年の日本の人口は、1億2340万人、5年後の2030年では1億1,662万人で、
働き手と言われる生産年齢人で比較すると2025年の日本生産年齢人口が約7370万人に対し、5年後の2030年では6,773万人と予想されています。
約600万人の減少となります。
これは、5年後には兵庫県民よりも多くの人が日本から居なくなる…ぐらい早いぺースで減っていくという事です。
いよいよ高齢者だらけの国になってきます。
(私も、高齢者の仲間入りをしてしまいます)
生産性をあげるために、機械化やAIを活用しようとしていますが、思ったほど技術進歩が進んでいません。
かつて、AIや機械化で無くなる職業としてあげられた業種は、今でも人がメインで活動しています。
また、建築現場や介護の業界でロボットが活躍していないのを見れば機械化や自動化の進化が遅れているのが分かって頂けると思います。
相手に変わる気がない限り、どんな教育をしても、人は変わりません。
辞めた人の代わりを補充するのでなく、自社の考えにあった人材が入社してもらえるように、社内改革に本気を出さなければ、手遅れになってしまいます。
時を移さず、長期的な展望にたって組織改革を進めていきましょう!!
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