放置してはいけない「経営者保証」

どんなに仲の知り合いからお願いされたとしても、連帯保証人にはなってはいけないからね。

(印鑑を押してはダメだからね)

 

たとえ、身内(家族)であっても大変なことになるからね…

 

学生だった頃、連帯保証人になってしまったが為に、全てを失ってしまった経営者から、何度も、何度も、繰り返し言われたことがあります。


よくドラマなどでも連帯保証人になったことでのトラブルが描かれてますが、(個人のケースです)連帯保証人には、主債務者と同等の責任を負うことになるので、主債務者の返済が滞ると、連帯保証人に対して全額の請求をされることになります。

 

しかも、やっかいなのは債務者の支払い能力に関わらず、いきなり連帯保証人に請求が来るケースもある程です。

 

一度連帯保証人になると、債権者や契約者の同意がない限り、一方的に契約を解除することはできません。

そのような大きなリスクがあるので、連帯保証人にはなってはいけないと言われますが、経営者保証も企業に対して個人が連帯保証をする仕組みです。

 

もし、会社が債務不履行などに陥った場合には、経営者は連帯保証の債務を履行する義務が発生します。

 

つまり、会社の債務不履行に対して、経営者の自宅(不動産)や預貯金といった個人の全財産をもって弁済する必要があるということです。

 

そんな事は分かってますよって大抵の方は言うと思いますが、急遽 会社を引き継ぐことになった二代目の方(もしくは経営幹部の方)にとっては、会社の不測の事態を乗り切るのに精一杯で、あとから経営者保証の事に気付く訳です。

 

「経営者保証はしません」とは言えない状況(後には戻れない状態)になって、巨額の個人債務を引き継ぐことになる場合があるのです。

言い方は良くないですが、他人の作った借金を背負うことになりかねない訳です。

経営者保証が解除できるケース

多くの中小企業では「特に問題になってないから」という理由で、経営者保証の見直しを後回しにしがちです。

しかし、経営者保証を放置すると、事業承継、倒産リスク、資金調達力など、多くの悪影響が生じる可能性があります。

 

けれども、しっかり対処すれば経営者保証を解除できるケースもあります。

どのように対処すればいいのででしょうか?

 

 

①自社の現状についての客観的な把握

 

経営者であれ、後継者であれ、そもそも金融機関に対して、どれくらいの借り入れがあり、どのような担保や保証がされているのか把握してないケースが多々あります。

おおよその金額や状況は掴んでいるけれども、正確な数値までは理解していない…、といった方がいるかと思います。

 

そんな場合は、是非とも今一度現状についての客観的な把握をしてみましょう。

 

 

②経営者保証ガイドライン」の理解

 

経営者保証ガイドラインとは、金融機関が中小企業への融資を行う際に、経営者の個人保証を求める状況や、事業が

困難になった場合の債務整理について、中小企業・経営者・金融機関が自主的に守るべき共通のルールをまとめたものです。

 

そのガイドラインには「金融機関が保証を求めないことを検討する際の要素」が明示されています。

 

主な要素は以下の3点です。

 

法人と個人の資産の分離:

企業の資金と経営者個人の資金の流用がないこと(公私分離)。

 

財務情報の開示:

経営状況を正確かつタイムリーに金融機関に開示していること(情報開示)。

 

財務基盤の強化:

企業に十分な自己資本があり、借入に依存しすぎない財務体質であること。

 

これらの要素を踏まえた上で改善策を実行していく訳です。

 

③保証解除のための体質改善

 

個人的な支払いに法人口座を使っているケースや、個人からの借入(短期借入金など)があれば、早期に解消しましょう。

 

会社名義の社宅であっても、家賃設定を市場相場に近づけ、公私混同の疑念を払拭しましょう。

債務超過の解消のため売上規模ではなく利益重視で財務の健全度を高めていき、会計士や税理士と連携して、高い信頼性を持つ財務諸表を迅速に作成できる体制を構築しましょう。

 

公私分離の実行し、財務基盤の改善を示す資料を準備することで、ようやく金融機関の担当者に「経営者保証解除を検討してほしい」と相談できるようになれます。

 

当然、直ぐに解除してもらえる訳ではなく保証協会保証付きの融資などの代替案を提案されることもあるかもしれません…。

 

経営者保証の放置は、いざという時に大きなリスク(トラブル)の元になります。

国も銀行も「保証依存からの脱却」を明確に進めています。

 

これからは経営者保証を外す努力をしているかどうかが、企業の経営力を測る新しい指標になるかもしれません。

保証解除のための体質改善にむけて確実な一歩を踏み出していきましょう。

 

 

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