日本の労働法体系は、労働者保護の傾向が非常に強く、一度社員として雇用すると、簡単には解雇することはできません。
そんな事は分かっているよ…と
言われそうですが、
「能力が低い」「態度が悪い」「和を乱す」といった理由だけで安易に解雇に踏み切れば、不当解雇として訴えられ、多額の解決金や未払い賃金の支払いを命じられるリスクがある訳です。
結局は、腫れ物を触るかのように問題社員を野放する事になり、事態がより悪化しています。
ここで大事なのは、問題社員の「感情的な排除」ではなく、法的手続きを遵守した、冷静かつ戦略的な対応をすることです。
感情的に対処してはいけないのが大きなポイントです。
問題社員のパターン
そもそも、どんなケースが問題社員にあたるのでしょうか?
問題社員の典型的なパターンも色々とありますが、以下のようなものが代表的なケースです。
〇パフォーマンス不足型:
期待される成果を著しく下回り、改善の兆しが見えない人材
〇規律違反・反抗型:
上司の指示に従わない、無断欠勤や遅刻を繰り返す人材
〇人間関係破壊型(ハラスメント型):
同僚への攻撃、パワハラ、職場での孤立を招く言動が多い人材。
〇メンタル不調・権利主張型:
自身の権利のみを強く主張し、義務を果たさない人材
こういった問題社員を放置すると真面目な社員が先に辞めていきます。
では、法的手続きを遵守した冷静かつ戦略的な対応とは、どのような内容でしょうか?
会社がとるべき5つの対応
問題社員に対しては、以下の5つの対応をすることが重要です。
ポイント①:客観的な「証拠」の徹底的な収集
話し合いや労働審判に向けて、事実の記録をしましょう。
「いつ」「どこで」「誰が」「どのような問題行動を起こし」「それに対してどう指導したか」を報告書形式で残しましょう。
メール等での指示内容とその不履行を示す証拠を残すことも大事です。
ポイント②:指導と改善機会の提供
会社が「改善の機会を与えていない」と判断されないように、指導経過を残しておきましょう。
具体的には、抽象的に「もっと頑張れ」ではなく、「〇日までにこの業務を完遂せよ」といった具体的数値・期限を提示して、出来なかった際のフォローと経過をその都度記録していきましょう。
ポイント③:就業規則の整備と適用
問題行動の何が、就業規則や懲罰規定に違反しているのか明確にする必要があります。
就業規則や懲戒規定が現状に即しているか、専門家に確認してもらい、必要な整備をしましょう。
ポイント④:感情を切り離した「事務的」対応
※この内容が一番重要です。
問題社員は、上司の感情的な反応を逆手に取ることがあります。
「怒鳴った」「詰め寄った」という事実があれば、逆にパワハラとして訴えられる隙を与えることにます。
常に冷静に、淡々と事実を確認し、淡々と手続きを進めましょう。
面談は複数人で行い、必ず議事録を作成することもお忘れなく…。
ポイント⑤:落としどころの明確化
解雇か、退職勧奨なのか最終的な着地点をどこに置くかを早期に決定する必要があります。
強引な解雇よりも「合意による退職(退職勧奨)」を目指すのが現実的な解決策となります。
伝える言葉をよく選ぶ
譴責(けんせき)→減給→出勤停止と段階を踏んで、更生の機会を与えても全く問題行動が改善されない場合、最終手段として、退職勧奨(話し合いによる解決)へと進むことになりますが、伝える言葉をよく選ぶ必要があります。
問題行動の内容と改善されなかった経緯を冷静に伝えても、問題社員がその内容を自覚するとは限りません。
その場合、このように伝えることも重要です。
「今の職場では、あなたの力を十分に生かせなかった。新しい環境で力を発揮してほしい」
問題社員のメンツも保たれて一方的に退職勧奨された感じが和らぎます。
さらに、退職を前提に進めるのはなく、
「仮に辞めるとすれば、どのような条件なら納得できるのか?書面にまとめて提出してください」
と伝える方法も有効です。
条件を提示してもらうことで、合意形成を進めやすくなります。
問題社員への対応は、精神的にも肉体的にもタフな作業です。
問題行動を放置することは、会社を支える他の「善意の社員」への裏切りになります。
「辞めることになったけれど、この会社には恩義がある」
と思ってもらえるように、問題を先送りせず、決断することが非常に大事です。
まずは自社の就業規則を見直し、直近の問題事例に対する記録があるか確認することから始めてください。
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