
フィンランドでは1990年代から教育にデジタルを導入し、ICTを利用した教育では世界最先端を進んでいました。
国際学習到達度調査(PISA)では読解力が世界一、数学的応用力や科学的応用力でも世界トップレベルで、フィンランドの教育は世界の注目を集めてきました。
10年前から生徒にノートパソコンが配られるようになり、デジタル教科書が使われてきましたが、2022年のPISAの順位は読解力が14位まで落ちるなど、学力低下が著しい状況となったのです。
そこでフィンランドは2023年、教科書を紙に戻し、鉛筆やペンを使う授業へと方針転換することになりました。
なぜ紙の教科書にもどしたのか?
デジタル教材を利用することで、一度に多くの情報にアクセスできるため、学習内容を深く理解することが難しく情報の消化不良なったことが原因とされています。
短期間で多くの情報を吸収しようとすると、重要な部分が記憶に残らないからです。
デジタル教材では、集中力の維持が難しいという理由もあります。
そこで、外国語や数学、物理の教科書を紙に戻し、鉛筆やペンを使う昔ながらの授業に戻したところ、情報の整理や理解が深まり、記憶にも定着しやすくなったと報告されるようになりました。
デジタル機器に依存しないことで、集中力が高まり、学習効果が改善されるという結果は他の国にも影響があり、スウェーデンでも紙の教科書に回帰する動きが強まっています
デジタル学習の全てが悪いわけではありませんが、「論理的思考が求められる科目」は紙の教科書を使い、動画解説や補助教材としてデジタル教材を活用する方法が得策のようです。
心身の健康にも悪影響
デジタル教育の導入後、フィンランドでは若者の心身の健康にも悪影響が出ていることが懸念されるようになりました。
孤独感やうつ病、不安などが増加しているという報告が増えていったのです。
デジタル機器を使う際の過剰なスクリーンタイムやオンライン活動が原因と考えられています。
同じような事が職場で起こっていてデジタルデトックスの必要性が高まってきています。
※以前にデジタルデトックスについては案内したことがあります。
マルチタスクと思わないかもしれませんが、実際にはこんなケースが起こっています。
打合せ中にスマホに通知がきて、
その内容が気になり、打合せで
曖昧な意見しか言えなくなっている。
急ぎの資料を作成していると
電話やメールがきて、資料作成の
作業が中断してしまう。
複数のアプリ、チャットを平行して
確認していたら、間違った相手に
返信してしまった。
このようなケースが実際には多いかと思います。
スマホやデジタル機器によるマルチタスク作業は不可欠なので、すぐに止めましょうとは言えないですが、心的ストレスには悪影響が出ているのは間違いありません。
よく言われることですが、人間は本来、一度に複数のタスクをこなすようにはできていません。
スマホの通知や頻繁な確認は、集中力を著しく低下さるだけでなく、重要な情報の見落とし、ミスの発生や生産性が低下につながります。
書くことでリフレッシュ
仕事上でマルチタスクになるのは仕方がないとしても、集中力の低下や不安といったモヤモヤを解消する方法はあります。
その方法とは、ジャーナリングです。
ジャーナリング(Journaling)とは、日記のように自分の思いや出来事を書き留める方法のことです。
特に、感情や思考、アイデア、疑問など、内面的な内容に焦点を当てた記録を指すことが多く、ジャーナリングとは「思考の掃除」、「心の整理整頓」とも言える行為です。
頭の中の情報を一度すべて外に出すことで、次に何をすべきか、どこに集中すべきかを明確にする手法として注目されています。
紙に書くだけで、どうして頭がすっきりするのか?と感じると思います。
書くことによって、処理すべき情報が外に出されることによって、脳の作業負荷が軽減されます。
また、頭の中で堂々巡りしている不安や怒り、葛藤などの感情も、紙に書き出すことで可視化できるようになります。
すると、距離を置いて客観的に見ることができ、感情を整理し、自分の思考や行動に対する理解を深めることができます。
デジタル機器の全てが悪いわけではありませんが、業務がマルチタスクになり、生産性が低くなりがちです。
そのためには、頭をすっきりさせるジャーナリングを上手く活用することがポイントとなります。
ジャーナリングの方法は、動画サイトで沢山あがってますが、記録するノートを活用しなくても、お値打ちのホワイトボードでも実践できると思います。
マルチタスクを脱却というより、効率良く処理すると表現した方が正しい表現だと思いますが、職場で上手くジャーナリングを活用してみてください。
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