日本の中小企業を取り巻く経営環境は、人口減少・人材不足・市場の成熟化などどうも明るい話題が見えてきません…。
設備投資やDX投資だけでは差別化が難しくなってきており、「人」の質こそが競争優位の源泉となると言われ続けてますが、「言われたことを正確にこなす」組織だけでは、大きな転換期の中で生き残ることが難しくなっています。
そこで注目されているのが「非認知能力」です。
テストの点数といった「測定しやすい能力」ではなく、仕事の成果や組織の生産性を左右する「見えにくい能力」に光が当たり始めています。
非認知能力とは何か
これまでのビジネスシーンで重視されてきたのは、
IQ(知能指数)や学歴、資格といった「認知能力」でした。
これらはテストや数値で測定しやすく、可視化しやすい能力です。
一方で「非認知能力」とは、数値化しにくい「やり抜く力」や「社会性」を指します。
※シカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授の研究によって、人生の成功(所得や健康、社会的地位)に最も影響を与えるのは、IQよりもこの非認知能力であると提唱され、世界中で注目されるようになりました。
非認知能力の代表的な要素は以下の通りです。
やり抜く力(GRIT):
困難に直面しても諦めず、目標に向かって継続する力
自制心・自己管理力:
感情をコントロールし、誘惑に負けずタスクを遂行する力。
協調性・共感性:
他者の立場に立って考え、チームで円滑に仕事を進める力。
回復力(レジリエンス):
失敗してもすぐに立ち直り、それを糧にする力。
好奇心・創造性:
未知の事柄に興味を持ち、新しいアイデアを生み出す力。
これらの要素は、個人の「性格」ではなく「行動特性」であるという点です。
つまり、観察可能であり、育成可能であり、組織設計次第で活性化できるということが重要なポイントです。
なぜ中小企業にとって重要なのか
中小企業において、一人の従業員が担当する業務範囲は広く、マニュアル化できない「想定外」の事態が頻発します。
そんな現場では指示待ち型」の人材よりも
・自分で考え
・自分で動き
・困難を乗り越え
・周囲を巻き込
これらの特性を活かせる非認知能力の高い人材の方が成果を出す確率が高い訳です。
特に人材不足が慢性化している多くの中小企業においては、「組織を前に進める人」の価値が上がっています。
その中核をなすのが「非認知能力」という訳です。
非認知能力をどう見極めるのか?
適性検査のスコアだけでは、非認知能力は見えてきません。
何気ない会話や面談の中で、「過去にどう行動してきたのか」を掘り下げることがポイントです。
例えば、以下の内容が見極めする際のポイントとなります。
① 失敗への向き合い方
他人や環境のせいにせず、自分の行動をどう変えたのか(具体的であるか)
② 目標設定のプロセス
自発的な動機があるか。どのような工夫(やり抜く力)をしたか
③ 「不確実な状況」への反応
答えのない「もし~だったらどうします?」という質問に対して、まずは動いてみる」という好奇心や前向きな姿勢があるか
このような観点で、行動特性を判断すると、どのような人材であるのか見極めることが可能です。
非認知能力の高い人材を有効活用していないと、なぜ成果があがらないのか?
認知能力が高い人とは違い
・愚痴よりも解決策を話す
・小さな改善を積み重ねる
・他部署と自発的に連携する
・トラブル時に冷静に対処する
これらの行動特性で、組織全体の底上げや長期安定経営を導く能力があるからです。
しかしながら、組織のリーダーに任命されるのは、認知能力の高い人となっています。
非認知能力が高い人は「あの人は頼みやすいから」と、雑用やトラブル処理を押し付けて便利屋のようなポジションとなってしまいがちです。
断らない特性があるので、過重負担で燃え尽きているかもしれません。
単なる「良い人」で終わらせず、組織の生産性を底上げする人材として活用したいところです。
そのためには、非認知能力の高い人材を見極め、その人材が活躍できる土壌を作ることが不可欠です。
評価制度の変更や、ポストへの配置、意思決定プロセスの参加など、「主体性が発揮される環境」を作ることから着手していきたいです。
「給料が安くて優秀な人が来ない」
と嘆く必要はありません。
学歴や資格の裏側に隠れた「非認知能力」というダイヤモンドの原石を見つけ出し、磨き上げること。
それこそが、これからの中小企業に残された最大の成長戦略なるはずです。
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