
今の学生には、「松下幸之助」とは歴史上の遠い人物になっていますが、私にとっては、今でも日本史上に残る偉大な経営者の一人です。
その松下幸之助さんが、
「なぜ成功することが出来たのか?」
と質問された際に、成功の秘訣を「3つの恵み」のおかげだと述べています。
第1に、貧乏だったから子どもの頃から人生に必要な多くの経験を積むことができた。
第2に、病弱だったから、他人に仕事を任せることをせざるを得なかった。
第3に、学歴がなかったから誰にでも質問して素直に学ぶことができた。
この3つが成功の秘訣だと述べています。
この3つの秘訣を知って、とても驚いたのですが、もっと驚いたことがありました。
それは、松下幸之助さんには、高橋荒太郎という右腕がいたということです。
経営者 一人の能力だけで、松下電器が世界的ブランドまで発展しなかったということです。
世界的ブランドで有名なソニーも経営者 一人の能力だけで発展した企業ではありません。
井深大と盛田昭夫が、まさに二人三脚で独創的な製品を次々と世に送り出しました。
トランジスタラジオ、ウォークマンなど、井深の独創的な発想と、盛田のマーケットを見据えた戦略の融合によって生まれたと言えるでしょう。
その他にも、技術一辺倒に陥りがちだった本田宗一郎を、市場ニーズや採算性といった側面で支えた藤沢武夫という関係も有名です。
排気ガス規制をめぐる中で、ホンダは過去の成功体験から空冷エンジンに固執してました。
現場の若いの研究者たちは、水冷でなければ規制をクリアできないと主張するのに対し、どうしても本田宗一郎は、空冷エンジンにこだわったのです、
このような「いきさつ」があり、本田宗一郎のカリスマの限界を感知し、潮時を見計らった藤沢武夫が自身の引退を
本田宗一郎に持ち掛けます。
それを聞いた本田宗一郎は、
「俺は藤沢武夫あっての社長だ。副社長が辞めるなら、俺も一緒に辞める」
と応じ、一緒に引退しました。
とても、有名な話しです。
共に引退を決意した時、本田が藤沢に「幸せだったな」と言うと、藤沢も「本当に幸せでした。
心からお礼を言います」と応じそうです。
このように、右腕となる人材と信頼関係を築くことで飛躍してきた企業が日本には数多くあるのです。
経営者の「経営力」の向上が重要
今年の中小企業白書に、企業の成長・持続的発展には、経営者の「経営力」向上が重要だと明記されました。
売上高規模ごとに存在する「成長の壁」を打破するためには、経営者にないスキルを持つ「補完型人材」の確保
もしくは
職権分散による一人経営体制の克服
以上の2点が必須だとされています。
これを、経営者の「経営力」の向上と表現するようになりました。
上手くいっている会社は、右腕となる人材を確保しており、耳の痛い意見も率直に述べることができる信頼関係があります。
ところが、ステップアップが必要と感じるの会社では、ワンマン社長とイエスマンの忖度だらけの状態です。
軌道修正する人材もおらず、場合によっては離職率が高くなっています。
ダメな会社では、社長の無茶振りを皆が黙って受け入れています。
「指示待ち人間」だけとなり、自発的に動こなくなるので、会社が脆弱に陥ってしまう訳です。
これを防ぐには、経営者の「経営力」向上が必須ということになります。
経営力の3つの要素
経営者の「経営力」向上に向けて、中小企業白書では3つの要素を具体的に明示しています。
①個人特性面
他の経営者と交流し、学び直しに取り組む
②戦略策定面
適切な価格設定を行う戦略的経営を行う
③組織人材面
従業員を大切にする人材経営を図る
これらの3つの要素を、一人で対応するには限界があります。
そこで、右腕となる人材に、例えば人材面などを任せるという行動にでなければ、いつまでたっても一人経営体制から脱却できなくなるのです。
松下幸之助も本田宗一郎も一人経営体制から脱却したからこそ、大きく成長できたのです。
日本が世界に誇る「トヨタ生産システム(かんばん方式)」ですが、豊田喜一郎が生み出したのではありません。
資源の乏しい日本で、いかに無駄を省き、生産性を上げるのか?
その問いに真っ向から取り組み現場に徹底的に落とし込んだのが大野耐一です。
トヨタ自動車の基礎を築いたのは豊田喜一郎ですが、トヨタ生産方式の生みだしたのは大野耐一であり、まさに名参謀の仕事であったと言えます。
売上げを、ただひたすら伸ばすことだけを考えていませんか?
そろそろ次のステージへ右腕となる人材と信頼関係を築き耳の痛い意見も率直に受け入れる環境を確保する時が来たようです。
思い当たる節があれば、すぐに改革に着手してください。
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