2021年度の最低賃金(時給)の引き上げ額の目安が、過去最高の28円に決まりました。
全国平均で時給930円 となった訳です。
昨年は、コロナ禍もあって、大幅な引き上げはありませんでしたので、2年ぶりの大幅アップです。
収入減が続く働き手からは歓迎の声が上がる一方、コロナ禍の直撃を受けている経営者らは「なぜ今なのか?」と悲鳴があがっています。
この背景には「中小企業淘汰論」で経済界で話題を呼んでいるデービッド・アトキンソン氏の影響が大きいと思います。
早期に時給を1000円に引き上げる方針を掲げる政府が主導し、大幅な引き上げが決まったようです。
ところで…10月ごろに新しい最低賃金が適用されたら、シフトは現状のままで大丈夫ですか?
【 労働時間を減らす人が増える懸念 】
パートやアルバイトなどの短時間労働者で扶養の範囲で働きたいと言われる方が時給があがり、年間130万円を超えると、会社の社会保険に加入する必要があります。
※条件によっては、自分で国民年金と、国民健康保険に加入する場合があります。
そうなると、社会保険料が引かれ手取りが減ることになります。
すると、何だか損をした感じがします。
所得税と住民税の負担もでてくるので、実質はもっと手取りが減ることになります。
扶養範囲から外れ手取りが減るよりも、130万円に収入は抑えたほうが得だと考える人が多いのが事実です。
そこで、今から現状のシフトで大丈夫なのか?
短時間労働者それぞれに、勤務時間について面談等で確認する必要がある訳です。
場合によっては、人を新たに採用しないとシフトに穴があく懸念もあります。
【 短時間労働者への社会保険適用拡大 】
さらに、2022年10月から段階的に一部のパート・アルバイトの方に対し社会保険の加入が義務化されます。
具体的には…
①2022年10月から、従業員数101人~500人の企業で働くパート・アルバイトが新たに 社会保険の適用になります。
②2024年10月から、従業員数51人~100人の企業で働くパート・アルバイトが新たに 社会保険の適用になります。
※従業員数には週労働時間及び月労働日数がフルタイムの3/4以上のパート・アルバイトを含みます。
③新たに加入対象者となる方は、以下のパート・アルバイトの方です。
◇ 週の所定労働時間が20時間以上の方
◇ 月額賃金が8.8万円以上の方
◇ 2ヶ月を超える雇用の見込みがある方
◇ 学生ではない方
短時間労働者への社会保険適用拡大では、会社側の社会保険料の負担が増加するので経営にどの程度影響をもたらすのか把握し、対策を講じる必要があります。
【 70歳定年が現実のものに… 】
私が就職した頃の定年は55歳でした。
やがて60歳になり、65歳に延長され、いよいよ70歳になろうとしています。
定年が70歳にならなかったとしても、週2日以上働くことを想定している方が多いようです。
政府は、改正高年齢者雇用安定法を施行し、企業に社員を70歳まで働けるようにするための措置を設ける事を努力義務として課しています。
「努力義務」ではあったとしても、「70歳まで働ける社会」を作るための基盤作りが進んでいます。
年金をもらいながら、現役世代と同じように頑張る高齢者、子育てと家事もする上で、仕事も頑張るパート、アルバイトの方、両者が同じような最低賃金であることにどうしても違和感を持ってしまいます。
※実際には、業務委託やフリーランスといった形態での雇用になると思います…
最低賃金の引き上げを通じて、将来の会社の「あるべき姿」がどのように見えていますか?
直前になって慌てないよう、経営の効率化、生産性の向上などを行なっていくことは重要になってきます。
この機会に、一度 考えてみることもいいかと思います。
笑顔創造研究所は、みなさまの笑顔を応援しています。